ランサーエボリューションX-試乗

営業マンによれば22日に納車されるけど、実際に試乗車として卸すのは来年になる、という話だったのに、急遽卸したという試乗車、ランサーエボリューションXのGSRグレード、ツインクラッチSSTモデル。


ボディカラーはレッドメタリック。オプションパッケージを何1つつけていない、完全なノーマル。
ちなみにレッドメタリックはエボXのパーソナルカラーのはず。
歴代エボリューションにもパーソナルカラーは存在していて(以降正式カラー名称ではありません)
Iがレッド
IIがガンメタ
IIIがイエロー
IVがシルバー?
Vもシルバー?
VIがブルー
VI TMEがレッド
VIIがイエロー
VII GT-Aがシルバー
VIIIが淡いブルー
VIII MRが濃いグレー
IXがシルバー
IX MRがレッド
系統の色だったはず。節目節目のモデルがやっぱりエボシリーズのパーソナルカラーというか、三菱のカラーであるレッドだったりするんですよね。初のエボ、第2世代最後のエボ、第3世代最後のエボ、そして第4世代初のエボ。


そんなことはどうでもいいんですけど。



実は試乗する前に誓約書を書かされるんですよね。
要するにエボを運転するときは無謀な運転はしませんよ、ということを誓うもの。
これ、たぶん本体価格が高いのと、最近流行りのAT限定免許でも運転が出来ることから、こういうものを設けたんだと思う。
そう、通常のATとは違うんですよこれ・・・。同じ感覚では乗れないと思う。


というのは少々大げさか。



乗った感想ですけど、まずはシートに座ってからの話を。
エンジンがすでにかかってたんですけど随分おとなしいですね。歴代エボのなかではほんと。
私、唯一運転したことのあるエボってIVなんですけど、マフラー換えてんのか?と思うくらいにうるさかったというか、なんかいいエンジン載せてんなぁという、いかにもなサウンドが個人的には好きだったので物足りない気もした。


○静音性
×スポーティーサウンドじゃない


前にも言ったように、今回のエボはだいぶ内装の質感をケチってて、勿論コストダウンしないととんでもない金額になってしまうからというのもあるんでしょうけど、特にドアヒンジ?って言うのかな、ドアを閉めるときに掴むあれ。あれがもうプラスチックなんですよ・・・。
そういうスパルタンなところがまたエボらしいっちゃぁらしいんでしょうけど。


ただし、内装のデザインは先代に比べて相当スポーティー。先代のCT型はどちらかというと開放感のあるデザインで、シートがバケット状だから体が固定されているというだけであって、あんまりスポーツ色が出てない印象だったんですけど、Xに関してはだいぶ深い。こういうちょっと窮屈さを感じるあたりが個人的にはすごい好きなのでデザインに関しては○。


○内装のデザイン
×内装の質感




で、いざ発進です。
今回のツインクラッチSSTはMTありきの存在であり、MTにATの機能を追加したものと考えていいという。
まずは通常のATモードで乗ってたんですけど、やっぱり違うんですよ。普通のATじゃないなってのがすぐにわかる。
で、それがもっと顕著にわかるのがモード切替をノーマルからスポーツにした場合。
すごいなぁと思ったのはこのスポーツモードにすると、ある程度の回転数まで引っ張らないとギアが変わらないこと。
そして、減速時に自動で低速ギアに移行させていくこと。


通常のATってブレーキを踏んでもギアって変わらないんです。ブレーキを踏み続けて停車したら1速になりますけど、そういう時以外のブレーキ操作ではギアは変動しない。


例えば青信号の交差点を思い出してみてください。ここを左折するとします。
ブレーキを踏んで減速→ハンドルを切る→アクセルを踏んで加速
と、通常はこういう流れがありますけど、普通のATは最後のアクセルを踏んだ時に初めてキックダウンという現象が起こってギアが低速に切り替わって加速するんですけど、エボのTC-SSTスポーツモードはブレーキを踏んで減速した時点でギアがすでに低速ギアに切り替わっている。例えば4速で交差点に侵入してブレーキを踏んで減速したらその時点で2速くらいまで落ちてる。
ということはカーブ明けの加速では急な発進やタイムラグ、車体の急変動が無く、スムーズな、むしろMTを操作しているときと全く同じ動作を自動でやってくれるという優れもの。


このTC-SSTを出荷するまでに何週間も納車を遅らせて何度も何度もチェックを繰り返してきた三菱のその姿勢がこの品質にも現れているのかもしれん・・・よくわからんけど。


パドルシフトによるマニュアルライクな変速も勿論可能。
さすがにブレーキはよく効く。


TC-SSTの完成度
○ブレーキ



街中しか走れなかったのであんまりスピードを出すことも無く、アクセルをさほど踏むことも無く終わってしまったわけで、しかも法定速度程度で巡行してもあんまりエボのよさってわからないとおもうんですよね・・・。
実際今日運転して見て、確かに段差を超えたときのショックも少なかったと思うし安定してたとは思うけどエボが本領を発揮するのは本当はこういうシーンじゃないんですよね。


△ボディ剛性に関してはよくわからず



で、運転してたときの感想なんですけど、メーター位置が低いのか、メーターの情報がまるで視界に入ってこない。意識してメーターを見てみるんですけどやっぱり随分視線が落ちるような気がする。
あとホワイトメーターってのがどうも駄目で、さらに視認性を失っているようにも思える。
インプレッサWRX STIはライトをつけなくてもメーター照明が灯るんですけど(最近の車に多い傾向)、あれは結構視界に入ってきて見やすかったなぁ。赤だったし。


×メーター位置
×メーター照明


今時の車に多い前の見切りが利かないというのもエボには存在していて、コースを回ってディーラーに戻ってきたときにフロントがどこまであるのかがわからなくてひやひやしながらハンドルを切ってた。
これも慣れなんでしょうけど、何で今時の車ってこんな見難いデザインにしちゃうんだろ・・・。


×見切りが利かない


あと決定的に駄目だったのがハンドルのデザイン。今回はMOMOとの共同開発ではなく自社製らしいんですけど、実際に握って運転してみてわかりました。あれはどこを握っていいのかわからない・・・。
人間工学に反してるよ・・・。
歴代エボはベース車両が変わらない限りステアリングのデザインが変わらないのでもしかするとこのままのデザインで突っ切るのかも・・・。


ただ、ハンドリングに関しては随分意外な印象を受けた。速度感応型のパワステも気にならなかったし、車線変更などの急な動きにも随分ソフトタッチで扱いやすい。
これ、STIの時は酷かったんですよ。ハンドルは重いし、リニア過ぎるっていうんでしょうかね。ハンドルの動きに対して車体がクイックに反応しすぎる印象があってあれはSTIの欠点だな、とは思ってたんですけど。


○ステアリングのフィーリング
×ステアリングデザイン



まぁあれですね。運転してみて思ったのは、やっぱり所有して乗り回してみたいというのが感想ですね。



試乗の後は営業マンと数十分話してたんですけど、私が気になっていたダミーの話をしたら、エボに関しては理由があってそうしている、とのことだった。
例えばフロントバンパーの向かって右側ダクト。左側はオイルクーラーがあるので穴が開いていてタイヤハウスに抜けるようになってるんですけど、右側は塞がってるんですよね。
でもエボの場合は、これは塞がっていることに意味があると考えたほうがいい、という。
じゃぁフロントフェンダー後方にあるダクトも?これ半分以上塞がってたりするんですよね。ボンネットの排熱ダクトも両側にあるうち、向かって左側のダクトは塞がってたはずですけど、これにも理由があるのかしら・・・。



あと、テールランプのデザインが気に入らないと話したら、形状はあれだけど、マイナーチェンジでベゼルの色くらいは変わるのでは?とのこと。そうですよね、せめてベゼルの色を黒にしてくださいよ・・・。
メーターの色に関してはラリーアートからレッド照明の何かが出るのでは?とのこと。
6MTに関しては今回のエンジンになかなかマッチしなかったから5MTにしたと、上から言われたらしい。今後も6MTの導入は未定というか、まずそういう話は無いという。



スポーツカーが淘汰されるこの社会でこういう車を作って売ってくれるメーカーにはほんと感謝しないといかんですわ。